マーケティングにおける認知率の向上、パーセプション形成において欠かせない「メディアPR・広報」。
デジタル広告やマス広告に知見はあっても、このPR・広報には知見や経験がないというマーケターも多いのではないでしょうか?
特にデジタル領域を専門にしている「デジタルマーケター」や「Webマーケター」では、PRの知見は全くないという方がほとんどだと思います。
広告を主体とした施策では、一定の刈り取りを終えてCPAが上昇してくる中、認知系の広告配信でさらにコストがかさむ・・・という状況に陥りがちですが、PR・広報の施策を絡めることで低コストで認知向上・流入アップを狙っていけます。
この記事では、実際にメディアPR・広報活動を進める前のPR・広報戦略の設計において活用できるマーケター必見のフレームワークをご紹介します。
メディアPRを活用できるとマーケターとしての幅が広がりますので、ぜひお読みください!
PR・広報戦略設計フレームワーク
フレームワーク①:PR-WWH
一つ目のPR・広報設計フレームワークは「PR-WWH」です。
ベースとなっている「WWH」(Who・What・How)は、広告系の大手事業会社でマーケティングを担当していた際に非常によく使っていたフレームワークなのですが、元はP&Gにて使われていたもののようです。
通常のWWHは
- WHO:誰(ターゲット)に対して
- WHAT:どのような顧客便益を
- HOW:どのような手法で届けるか
を考えていきますが、このWWHがそのままPR戦略設計にも活用できます。
PR-WWHでは、
- Objective:メディアPR・広報施策の目的
- WHO
- ターゲットメディア:ターゲットとする(掲載を取りたい)メディア媒体はどこか?
- メディアインサイト:ターゲットメディアの記者さんが持つインサイトは何か?
- メディアニーズ:ターゲットメディアの記者さんが欲しい情報はどのような内容か?
- WHAT:PRするコンテンツ、発信の具体的な中身
- HOW:実施するPRの具体的手法
を考えていきます。
僕個人としては、PRを考える際、必ずこのPR-WWHの設計から考えています。
これが明確に定まっていると、後々具体的なPRコンテンツを考え始めた際にも軸がぶれませんので、とてもおすすめのフレームワークです!
フレームワーク②:SNoRRT(スノート)
続いて紹介するPR・広報設計のフレームワークは、「SNoRRT(スノート)」です。
SNoRRTは、これまでのPR経験をもとに僕が作り、個人的に使っていたフレームワークです!
特にお金や人のリソースが少なく、大規模PRが難しいようなベンチャー・スタートアップ・スモールビジネスで活用しやすいフレームワークになっています。
SNoRRTの構成要素は、
- S = Sociality:社会性
- No = Novelty:新規性
- R = Reliability:信頼性
- R = Regionality:地域性
- T = Timely:適時性
の5つです。
この5つのうち、いずれか一つ以上の要素を持つコンテンツがメディア掲載を取りやすいものになっています。
①Sociality:PRコンテンツ・中身に「社会性」があるか?
社会や世の中にとって価値のある発信かどうか?という要素です!
PRにおいて、この「社会性」が最も重要といっても過言ではありません。
メディアにアプローチする際に「こんな新商品を販売しました!」「こんなキャンペーンを実施します!」のように、メディア媒体や記者さんに対して”営業”チックなアプローチをしてしまう方が多いのですが、こういった内容はメディアPRと非常に相性が悪いです。
むしろ、
「この新商品で世の中の〇〇という課題をこんな風に解決できます」
「〇〇で困っている方に向けたこんなキャンペーンを実施します」
というようにその情報が社会や世の中にとって、どのように役立つのか?という「社会性」を伝えることが重要です。
②Novelty:PRコンテンツ・中身に「新規性」があるか?
世の中にとって新しい発見や新しい示唆を提供できているか?という要素です!
メディア媒体の視点で考えた際に、世の中で既に知られているような情報やありきたりな内容ばかりを発信していてもメディアの価値は高まりません。
そのため、新しい発見のある情報や斬新な内容をメディア記者さんは求めています。
「日本初のサービス〇〇を〇月〇日にリリース」
「〇〇の本当の原因は〇〇」
のように新しい情報は、メディアとしてもぜひ取り上げたい内容になります。
全く新しい内容が難しくても、あまり知られていない切り口や新しい観点を含めた発信を考えていきましょう。
③Reliability:PRコンテンツ・中身に「信頼性」があるか?
客観的に見て信頼性のある情報になっているか?という要素です!
この信頼性の担保には「事実としての数字」「第三者からのコメント」などを活用すると効果的です。
メディア媒体は出所がわからない情報や事実ではない主観的な内容を嫌います。
数字で裏付けした事実を伝えることが重要です。
「〇〇のうち、90.5%が〇〇」
「満足度92%を獲得した〇〇」
のように数字を使って、”事実”を伝えます。
裏付けする数字には、オープンソースのデータや自社で取得しているデータなどを活用するのがおすすめです。
手元のデータがないケースでは、インターネットアンケート調査などでデータ取りするのも効果的です。
ネット調査で取得したデータを「調査レポート」という形で発信することもできます。
④Regionality:PRコンテンツ・中身に「地域性」があるか?
発信者や組織、発信の内容にゆかりのある地域に関連しているか?という要素です!
例えば、自社の何らかの情報を発信する際に創業者の出身地が「広島県」だったとします。
その場合、広島県との関連性を含めてPRすることで、広島県内の新聞・テレビなどのメディアや中国地方内のメディアに相対的に掲載を取りやすくなります。
また、何らかのイベントを広島県内で開催する、といったケースも同様に広島県内のメディアに取り上げてもらいやすいです。
つまり、発信者や発信内容に地域性がある場合は、その地域に特化してメディアアプローチをかけると効果的です。
⑤Timely:PRコンテンツ・中身に「適時性」があるか?
発信する情報が時流や世の中のホットトピックス、人々の関心ごとに関連するものか?という要素です!
例えば、直近では「AI」「SDGs」「働き方改革」「少子化」などのトレンド・関心ごとに関連していると注目を集めやすくなります。
こういったトピックスは記者さんもアンテナを張っている場合が多く、目に留まりやすい内容になるため、それだけ掲載を取れる確率も高まります。
「なぜ今、その内容を発信するのか?」=適時性はあるのか?を考えたうえで、PRの中身を具体的に考えていく、という順序で進めるのがおすすめです。
以上がフレームワーク「SNoRRT」のご紹介でした。
具体的なPRの中身を考える前に、これら5つのうちのどの要素でPRするか?を考えて発信の中身を設計することで、メディア掲載の確率を高めることができます。
フレームワーク③:PR-IMPAKT®
3つ目のフレームワークは「PR-IMPAKT®」です。
こちらは電通グループが開発した「メディアが報道したくなる6つのPR視点」をまとめたオリジナルのメソッドです。
- Inverse:逆説・対立構造
- Most:最上級・初・独自
- Public:社会性・公共性・地域性
- Actor:役者・語り部・体現者
- Keyword:キーワード・数字
- Trend:時流・世相・トレンド・季節性
の6つの頭文字を取っています。
以下の記事で詳しく紹介されていますので、こちらをご覧ください。
「PR-IMPAKT®」はPRにはもちろんのこと、キャンペーン施策にも活用ができます。
例:
「マック vs マクド」キャンペーン、「あなたはどっち派?」キャンペーンなど
→対立構造を構築する”Inverse”
「最大50%OFF」キャンペーンなど
→最大〇〇で訴求する”Most”
「1等で全額キャッシュバック」キャンペーンなど
→パワーワードで惹きつける”Keyword”
「サイバーマンデー」キャンペーンなど
→季節性やトレンドに合わせる”Trend”
キャンペーン施策のアイデア創出にも活用できますので、非常に汎用性が高いフレームワークです。
まとめ
集客UPには広告の強化・最適化を進めるしかない!と思ったら、大間違いです!
PR施策をうまく組み合わせることでデジタル広告にも好影響になり、マーケターとしての幅が広がることは間違いありません。
今回ご紹介したPRフレームワークを活用し、PRに挑戦してみてください!