- よくある質問(FAQ)
- 運営者情報
- まとめ:「帰りたい」と「出たい」は別の感情
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- まとめ:「帰りたい」と「出たい」は別の感情
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- 私たちは「東京に帰りたい」と思ったことが一度もない
- 「東京に帰りたい」と「本土に出たい」は何が違うのか?
- なぜ離島暮らしだと「本土に出たい」が生まれるのか?
- 「東京に帰りたい」気持ちが芽生えたら、まず何をすればいいか?
- まとめ:「帰りたい」と「出たい」は別の感情
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- 「地方移住したのに東京に帰りたい」と思うのは、あなただけではない
- 「東京に帰りたい」と感じる瞬間・きっかけ、実例で見る4パターン
- 東京へ戻った人たちの実例:戻った後どうなったのか?
- 東京に戻らない/戻るを判断する4つの軸
- 私たちは「東京に帰りたい」と思ったことが一度もない
- 「東京に帰りたい」と「本土に出たい」は何が違うのか?
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よくある質問(FAQ)
Q1. 地方移住して「東京に帰りたい」と思うのは、よくあることですか?
よくあることです。今回検証したX投稿・YouTube動画でも、出社回帰や物価の実感差、理想と現実のギャップなど、さまざまなきっかけで帰りたいと感じている移住者が複数見つかりました。検索して不安になっている時点で、あなたが特別に弱いわけではありません。
Q2. 「東京に帰りたい」と思ったら、すぐ決断せずどのくらい様子を見るべきですか?
明確な期間はありませんが、判断を急いだ結果、かえって苦しくなった実例が複数ありました。まずは何が引き金になっているのか、仕事の環境なのか、人間関係なのか、今いる場所そのものの制約なのかを言葉にしてみてください。原因によって取るべき選択肢は変わります。
Q3. 地方移住をやめて東京に戻る場合、仕事はどうすればいいですか?
出社回帰の流れで転職を機に戻らざるを得なかった実例もあれば、下調べ不足のまま移住して短期間で退去し戻った実例もありました。戻る場合は、移住前の職場に戻れる可能性があるか、新しい仕事を探す必要があるかを早めに整理しておくと、判断がしやすくなります。
Q4. パートナーと「戻りたい/戻りたくない」で意見が分かれたらどうすればいいですか?
夫婦間で「地方に移住したい」「東京に戻りたい」の意見が揺れ動く実例もありました。どちらか一方の意見を優先するのではなく、経済的条件・人間関係・土地への愛着という判断軸を、二人でそれぞれ言葉にしてすり合わせることが有効です。
Q5. 「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」は同じ気持ちですか?
同じではありません。「帰りたい」は東京という特定の場所への郷愁である一方、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求で、行き先が東京である必要はありません。私たち自身も、東京に帰りたいとは思わない一方で、離島の医療や教育の選択肢の少なさから本土に出たいと感じたことがあります。
Q6. 離島に移住した場合も、東京に帰りたくなることはありますか?
私たち自身の8年間では、東京に帰りたいと感じたことはありません。ただし、離島特有の制約から「本土に出たい」と感じたことは正直あります。この2つは別の感情であり、離島だからといって東京への郷愁が強まるとは限らないというのが実感です。
Q7. 東京に帰りたいと思ったことがない移住者は珍しいのでしょうか?
今回集めた一次情報の中では、東京に帰りたいと感じた経験を語る投稿の方が多く見つかりました。その意味で、私たちのケースは前提条件が異なる可能性があります。離島という環境、本土との往復のしやすさ、地域の人間関係のあり方など、複数の要因が重なった結果だと考えています。
運営者情報
この記事は、東京から島根県・隠岐へ移住した30代夫婦が運営しています。地縁もゆかりもない8世帯13人の集落へのIターンです。娘一人の3人家族で、隠岐・海士町は「ないものはない」を掲げる離島の町です。島留学や産業創出の取り組みでも知られています(参考:隠岐郡海士町公式サイト)。
地方移住そのものの動向については、総務省が毎年公表している移住・交流施策の調査結果も参考になります(参考:総務省「移住・交流施策」)。
移住して8年目、離島暮らしのリアルを、マーケター視点で検証しながら発信を続けています。この記事のために収集・分析したのは、X投稿28件・YouTube動画6本という一次情報。8年間の実体験とあわせて検証しました。詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
まとめ:「帰りたい」と「出たい」は別の感情
「地方移住したのに東京に帰りたい」と感じるのは、決して珍しいことではありません。X投稿28件・YouTube動画6本を通じて、多くの移住者が同じ揺れを抱えていることを見てきました。外部要因、生活実感の差、繰り返す葛藤、理想と現実のギャップという4パターンが、その入口になっていました。
私たち夫婦は8年間、東京に帰りたいと思ったことが一度もありません。理由は、見返りを求めない贈与の関係や、電車で自然に席を譲ってもらえるような、この地域の人たちの優しさです。
一方で、離島という条件そのものから「本土に出たい」と感じたことはあります(財務面の検証はこちらの記事、移住前の夫婦の意思決定はこちらの記事もあわせてご覧ください)。医療、教育、そして収入とキャリアです。収入とキャリアについては、娘が生まれたタイミングで転職活動をし、本土の会社数社からオファーをいただき、本気で島を出ようと思った時期がありました。結果的には、今はフルリモートでマーケティングの仕事を続けており、島に残るという選択をしています。
「帰りたい」は特定の場所への郷愁で、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求です。この2つを混同せずに切り分けると、自分が本当に求めているものが見えやすくなります。もし今「帰りたい」と感じているなら、それが本当に東京という場所への郷愁なのか、それとも今いる場所の制約から出たいだけなのか、一度立ち止まって確認してみてください。
自分の「帰りたい」の正体を、客観的に確認したい方へ
この記事で紹介した判断軸を、ご自身の状況に当てはめて整理できるチェックシートを無料配布しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 地方移住して「東京に帰りたい」と思うのは、よくあることですか?
よくあることです。今回検証したX投稿・YouTube動画でも、出社回帰や物価の実感差、理想と現実のギャップなど、さまざまなきっかけで帰りたいと感じている移住者が複数見つかりました。検索して不安になっている時点で、あなたが特別に弱いわけではありません。
Q2. 「東京に帰りたい」と思ったら、すぐ決断せずどのくらい様子を見るべきですか?
明確な期間はありませんが、判断を急いだ結果、かえって苦しくなった実例が複数ありました。まずは何が引き金になっているのか、仕事の環境なのか、人間関係なのか、今いる場所そのものの制約なのかを言葉にしてみてください。原因によって取るべき選択肢は変わります。
Q3. 地方移住をやめて東京に戻る場合、仕事はどうすればいいですか?
出社回帰の流れで転職を機に戻らざるを得なかった実例もあれば、下調べ不足のまま移住して短期間で退去し戻った実例もありました。戻る場合は、移住前の職場に戻れる可能性があるか、新しい仕事を探す必要があるかを早めに整理しておくと、判断がしやすくなります。
Q4. パートナーと「戻りたい/戻りたくない」で意見が分かれたらどうすればいいですか?
夫婦間で「地方に移住したい」「東京に戻りたい」の意見が揺れ動く実例もありました。どちらか一方の意見を優先するのではなく、経済的条件・人間関係・土地への愛着という判断軸を、二人でそれぞれ言葉にしてすり合わせることが有効です。
Q5. 「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」は同じ気持ちですか?
同じではありません。「帰りたい」は東京という特定の場所への郷愁である一方、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求で、行き先が東京である必要はありません。私たち自身も、東京に帰りたいとは思わない一方で、離島の医療や教育の選択肢の少なさから本土に出たいと感じたことがあります。
Q6. 離島に移住した場合も、東京に帰りたくなることはありますか?
私たち自身の8年間では、東京に帰りたいと感じたことはありません。ただし、離島特有の制約から「本土に出たい」と感じたことは正直あります。この2つは別の感情であり、離島だからといって東京への郷愁が強まるとは限らないというのが実感です。
Q7. 東京に帰りたいと思ったことがない移住者は珍しいのでしょうか?
今回集めた一次情報の中では、東京に帰りたいと感じた経験を語る投稿の方が多く見つかりました。その意味で、私たちのケースは前提条件が異なる可能性があります。離島という環境、本土との往復のしやすさ、地域の人間関係のあり方など、複数の要因が重なった結果だと考えています。
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この記事は、東京から島根県・隠岐へ移住した30代夫婦が運営しています。地縁もゆかりもない8世帯13人の集落へのIターンです。娘一人の3人家族で、隠岐・海士町は「ないものはない」を掲げる離島の町です。島留学や産業創出の取り組みでも知られています(参考:隠岐郡海士町公式サイト)。
地方移住そのものの動向については、総務省が毎年公表している移住・交流施策の調査結果も参考になります(参考:総務省「移住・交流施策」)。
移住して8年目、離島暮らしのリアルを、マーケター視点で検証しながら発信を続けています。この記事のために収集・分析したのは、X投稿28件・YouTube動画6本という一次情報。8年間の実体験とあわせて検証しました。詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
まとめ:「帰りたい」と「出たい」は別の感情
「地方移住したのに東京に帰りたい」と感じるのは、決して珍しいことではありません。X投稿28件・YouTube動画6本を通じて、多くの移住者が同じ揺れを抱えていることを見てきました。外部要因、生活実感の差、繰り返す葛藤、理想と現実のギャップという4パターンが、その入口になっていました。
私たち夫婦は8年間、東京に帰りたいと思ったことが一度もありません。理由は、見返りを求めない贈与の関係や、電車で自然に席を譲ってもらえるような、この地域の人たちの優しさです。
一方で、離島という条件そのものから「本土に出たい」と感じたことはあります(財務面の検証はこちらの記事、移住前の夫婦の意思決定はこちらの記事もあわせてご覧ください)。医療、教育、そして収入とキャリアです。収入とキャリアについては、娘が生まれたタイミングで転職活動をし、本土の会社数社からオファーをいただき、本気で島を出ようと思った時期がありました。結果的には、今はフルリモートでマーケティングの仕事を続けており、島に残るという選択をしています。
「帰りたい」は特定の場所への郷愁で、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求です。この2つを混同せずに切り分けると、自分が本当に求めているものが見えやすくなります。もし今「帰りたい」と感じているなら、それが本当に東京という場所への郷愁なのか、それとも今いる場所の制約から出たいだけなのか、一度立ち止まって確認してみてください。
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Q1. 地方移住して「東京に帰りたい」と思うのは、よくあることですか?
よくあることです。今回検証したX投稿・YouTube動画でも、出社回帰や物価の実感差、理想と現実のギャップなど、さまざまなきっかけで帰りたいと感じている移住者が複数見つかりました。検索して不安になっている時点で、あなたが特別に弱いわけではありません。
Q2. 「東京に帰りたい」と思ったら、すぐ決断せずどのくらい様子を見るべきですか?
明確な期間はありませんが、判断を急いだ結果、かえって苦しくなった実例が複数ありました。まずは何が引き金になっているのか、仕事の環境なのか、人間関係なのか、今いる場所そのものの制約なのかを言葉にしてみてください。原因によって取るべき選択肢は変わります。
Q3. 地方移住をやめて東京に戻る場合、仕事はどうすればいいですか?
出社回帰の流れで転職を機に戻らざるを得なかった実例もあれば、下調べ不足のまま移住して短期間で退去し戻った実例もありました。戻る場合は、移住前の職場に戻れる可能性があるか、新しい仕事を探す必要があるかを早めに整理しておくと、判断がしやすくなります。
Q4. パートナーと「戻りたい/戻りたくない」で意見が分かれたらどうすればいいですか?
夫婦間で「地方に移住したい」「東京に戻りたい」の意見が揺れ動く実例もありました。どちらか一方の意見を優先するのではなく、経済的条件・人間関係・土地への愛着という判断軸を、二人でそれぞれ言葉にしてすり合わせることが有効です。
Q5. 「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」は同じ気持ちですか?
同じではありません。「帰りたい」は東京という特定の場所への郷愁である一方、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求で、行き先が東京である必要はありません。私たち自身も、東京に帰りたいとは思わない一方で、離島の医療や教育の選択肢の少なさから本土に出たいと感じたことがあります。
Q6. 離島に移住した場合も、東京に帰りたくなることはありますか?
私たち自身の8年間では、東京に帰りたいと感じたことはありません。ただし、離島特有の制約から「本土に出たい」と感じたことは正直あります。この2つは別の感情であり、離島だからといって東京への郷愁が強まるとは限らないというのが実感です。
Q7. 東京に帰りたいと思ったことがない移住者は珍しいのでしょうか?
今回集めた一次情報の中では、東京に帰りたいと感じた経験を語る投稿の方が多く見つかりました。その意味で、私たちのケースは前提条件が異なる可能性があります。離島という環境、本土との往復のしやすさ、地域の人間関係のあり方など、複数の要因が重なった結果だと考えています。
運営者情報
この記事は、東京から島根県・隠岐へ移住した30代夫婦が運営しています。地縁もゆかりもない8世帯13人の集落へのIターンです。娘一人の3人家族で、隠岐・海士町は「ないものはない」を掲げる離島の町です。島留学や産業創出の取り組みでも知られています(参考:隠岐郡海士町公式サイト)。
地方移住そのものの動向については、総務省が毎年公表している移住・交流施策の調査結果も参考になります(参考:総務省「移住・交流施策」)。
移住して8年目、離島暮らしのリアルを、マーケター視点で検証しながら発信を続けています。この記事のために収集・分析したのは、X投稿28件・YouTube動画6本という一次情報。8年間の実体験とあわせて検証しました。詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
私たちは「東京に帰りたい」と思ったことが一度もない

ここまで、他の移住者の声を通じて「東京に帰りたい」という気持ちがどう生まれ、どう揺れるかを見てきました。一方、私たち自身は、実は8年間で東京に帰りたいと感じたことが一度もありません。感じたことがある前提で理由を並べるのではなく、感じなかった事実をそのまま書きます。
一番の理由は、この地域の人たちの優しさです。東京生まれ東京育ちの私にとって、東京の人間関係はどこか冷たいものだと感じていました。島根県・隠岐に移住してから、人と人とのつながりをこれまでとは違う濃さで感じるようになりました。
もっとも印象に残っているのは、お裾分けをめぐる出来事です。近所の高齢の方々から、畑で採れた野菜をたびたびいただいていました。もらってばかりでは申し訳ないと思い、お返しに伺ったところ、こう言われたのです。「お返しなんていらん。お返しするんだったらもう2度とお裾分けやらんよ」。続けて「うちらはお返しが欲しくてお裾分けしてるわけじゃないから、そういう気遣いしなくていいよ」とも言われました。
東京で育った自分は、何かをもらうと、心のどこかで見返りを返さなければと考えてしまいます。しかしこの地域の方々は、見返りを一切求めずに、ただあげたいからあげるという関係を築いていました。その精神性の高さに、正直かなり衝撃を受けたのを覚えています。
もう一つ、忘れられない場面があります。1歳の娘をベビーカーに乗せて電車に乗ったときのことです。東京では、車椅子用の広いスペースをサラリーマンが占領していて、ベビーカーで乗ってもどいてもらえないことが少なくありませんでした。
ところが島根県・鳥取県の山陰では、「お兄さん、ここ座りなよ!」と声をかけられ、席を譲ってもらいました。同じ「電車に乗る」という行動でも、この土地では見返りを求めない優しさに何度も出会ってきました。
移住前に想定していた「自然の豊かさ」だけでなく、こうした人間関係のあたたかさが、この場所を好きになった一番の理由です。私たちは隠岐もそうですが、山陰そのものが大好きなのです。だからこそ、東京に戻るという選択肢が8年間で一度も頭に浮かんだことがありません。
ただし、これは「離島暮らしに不満が一切ない」という意味ではありません。次の章では、「東京に帰りたい」とは別の種類の感情について書きます。
「東京に帰りたい」と「本土に出たい」は何が違うのか?

結論から言うと、「帰りたい」と「出たい」は方向の異なる感情です。「帰りたい」は特定の場所、つまり東京やかつての生活への郷愁です。一方、「出たい」は今いる環境の制約から解放されたいという欲求で、行き先が東京である必要はありません。
この違いを混同したまま語られる例があります。@proogoさんが紹介していたのは、友人「移住やめマン」の伝聞です。「とにかく『田舎暮らしはキツすぎる』と思って上京した」ものの、「移住したら、今度は『東京暮らしはキツすぎる』と気づき、田舎に戻った」というのです。
最終的にその友人は、「キツいのは田舎でも東京でもなく、『暮らし』と俺自身だった」と気づいたと語っていたそうです。これは私たち自身の体験ではなく、@proogoさんが友人の言葉を代弁した伝聞ですが、場所のせいにしてしまう典型例として示唆に富んでいます。
一方、私たち自身の実感はこれとは少し違います。私は東京という特定の場所に戻りたいと思ったことはありません。しかし島という限られた環境の外に出たいと感じたことは正直あります。感情の対象が「場所」ではなく「制約」に向いているという点で、@proogoさんの友人の葛藤とは種類が異なると感じます。
感情の対象は必ずしも固定されないという点も補足しておきます。@mayankjpnさんは、栃木で過ごした農作業の日々を、都会に戻った今でも思い出すと投稿していました。「都会に戻った今でも、草vs人間の最前線を思い出す。」という一文は、郷愁の対象が必ずしも都会側にあるとは限らないことを示しています。
「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」を切り分けて考えると、自分が本当に求めているものが見えやすくなります。次の章では、なぜ離島暮らしだと「本土に出たい」が生まれやすいのかを、海士町という土地の条件から掘り下げます。
なぜ離島暮らしだと「本土に出たい」が生まれるのか?

結論から言うと、離島は「特定の土地への郷愁」ではなく「今いる場所の外に出ないと得られない選択肢へのアクセス欲求」を生みやすい環境です。島根県隠岐・海士町という土地の背景から見ていきます。
海士町は、隠岐諸島にある人口約2000人の島です。70年ほど前には7000人近くいた人口が3分の1にまで減少し、一時は地方交付税の大幅削減で財政が危機的な状況に陥りました(参考:YouTube「副業ではなく複業 日本海に浮かぶ島根県の小さな島で始まった持続可能な働き方」)。
離島振興法にもとづき、国も離島留学など定住支援策を進めています。ただ、それ自体が医療・教育・雇用は本土に集中しやすいという構造の裏返しでもあります(参考:国土交通省「離島振興」)。
東京の大手広告代理店を辞めて海士町へ移住したあるデザイナーは、「東京にいたりとか大きな会社で働いたりとかするとやっぱそこにあんまり視点が向かなかった」と振り返っていました。
移住してからは、「人口も少ないしそこにはやっぱりこうすごくリアルにダイレクトに高齢化してるなぁ」と実感するようになったと語っています(参考:YouTube「【東京から地方移住】40代・デザイナーが大手広告代理店を辞め、島根県の離島・海士町に移住したわけ」)。
これは海士町に限った話ではなく、地方全般に共通する構造的な課題でもあります。兵庫県神河町という中山間地域から発信している@poC_jpさんは、都会の人がイメージする「自然が豊かで静かな場所」の裏側について、「地方は今、『草との戦争』をしている」と表現していました。
人口減少と高齢化で担い手が減る一方、管理すべき面積は減らないという指摘です。離島か中山間地かを問わず、地方の担い手不足という構造は共通しています。
一方、私たち自身も、離島という条件そのものから「本土に出たい」と感じたことがあります。もっとも切実なのは医療です。西洋医学以外の選択肢、たとえば漢方や鍼灸、整体といった手段が島にはないですし、大きな病気になれば都度船に乗って本土の病院に通う必要があります。
離島やへき地の医療体制は、実際に国レベルの検討課題でもあります(参考:厚生労働省「へき地保健医療対策検討会」)。今はまだ若いので大丈夫かもしれませんが、自分たちが60代、70代になったときに、この医療体制のままで居続けられるのだろうかという不安は正直あります。
次に感じるのが、子供の教育環境です。娘は今5歳です。先進的な教育を取り入れている学校は、東京や大阪、福岡といった都市近郊に集中する傾向があり、離島にいると選択肢が限られます。これから娘が小学校、中学校と進んでいくことを考えると、この場所のままでいいのかを悩む場面が正直あります。
そしてもう一つ、収入とキャリアについても本気で悩んだ時期がありました。移住後、報酬は東京水準から大きく下がり、娘が生まれたタイミングで、このままの収入とキャリアでいいのかと真剣に考えた末、転職活動をしたことがあります。その結果、本土の会社数社からオファーをいただき、本気で島を出ようと思いました。この決断がどうなったかは、まとめで改めて触れます。
医療も教育も収入も、根本にあるのは「今いる場所の外に出ないと得られない選択肢」への渇望です。これは東京という特定の場所への郷愁とは、性質が違う感情だと感じています。
「東京に帰りたい」気持ちが芽生えたら、まず何をすればいいか?

結論から言うと、帰りたいと感じても、すぐに動く必要はありません。まず判断を急がず、何が引き金になっているのかを確認してください。
もっとも避けたいのは、準備不足のまま判断を急いでしまうことです。@yo20011002さんは、地方から抜け出そうとしたものの、「田舎が嫌で逃げ出そうとしたのにメンタル壊れて出戻りクネクネしてる僕にとっては更に絶望なんですが」と、判断を急いだ末の苦しさを投稿していました。急いで動くほど、かえって選択肢を狭めてしまうことがあります。
パートナーとの関係を理由に踏みとどまった例もあります。@h38902さんは、大好きな沖縄への単身移住を考えつつも、「特大Gに耐えられなさそうなので踏みとどまってる」と、関係性を優先した判断を明かしていました。
ライフステージを理由に見送る判断もあります。@caHdBYYMxOLBNXOさんは、ある土地に強く惹かれつつも「多分、性格上(経験上)独身の時だったら移住してたと思う」と、今の自分には合わない選択であることを受け止めていました。
経済的な理由で見送る判断も、現実的な軸として機能します。@CMBottleさんは、趣味への出費リスクを踏まえて、「今は移住を踏みとどまってよかったと思ってるよ」と綴っています。@juri_biborokuさんも、食の魅力を認めつつ、生活習慣の変化を理由に「住んだら確実に太ってしまうという点で移住踏みとどまってるとこある」と、ユーモラスながら現実的な判断を示していました。
帰りたい気持ちが芽生えたら、まず何が引き金なのかを言葉にしてみてください。次の4つを自分に問いかけてみると、原因の輪郭がはっきりしてきます。
- 仕事: 今の職場・働き方が原因なら、転職や働き方を変えるだけで解決しないか
- 人間関係: 特定の相手や地域コミュニティとの摩擦が原因なら、距離の取り方で対処できないか
- 生活コスト: 収入と支出のバランスが原因なら、東京に戻らなくても改善する方法がないか
- 環境そのものの制約: 医療・教育・交通など、その土地の構造的な制約が原因なら、東京以外の選択肢も含めて考えられないか
原因によって、取るべき選択肢は変わってきます。仕事や人間関係が原因なら、今の場所に残ったまま解決できる可能性があります。一方、環境そのものの制約が原因なら、戻る先は必ずしも東京である必要はありません。
今の気持ちを整理する材料が欲しい方へ
「帰りたい」のきっかけと判断軸を、自分の状況に当てはめて確認できるチェックシートを無料配布しています。
まとめ:「帰りたい」と「出たい」は別の感情
「地方移住したのに東京に帰りたい」と感じるのは、決して珍しいことではありません。X投稿28件・YouTube動画6本を通じて、多くの移住者が同じ揺れを抱えていることを見てきました。外部要因、生活実感の差、繰り返す葛藤、理想と現実のギャップという4パターンが、その入口になっていました。
私たち夫婦は8年間、東京に帰りたいと思ったことが一度もありません。理由は、見返りを求めない贈与の関係や、電車で自然に席を譲ってもらえるような、この地域の人たちの優しさです。
一方で、離島という条件そのものから「本土に出たい」と感じたことはあります(財務面の検証はこちらの記事、移住前の夫婦の意思決定はこちらの記事もあわせてご覧ください)。医療、教育、そして収入とキャリアです。収入とキャリアについては、娘が生まれたタイミングで転職活動をし、本土の会社数社からオファーをいただき、本気で島を出ようと思った時期がありました。結果的には、今はフルリモートでマーケティングの仕事を続けており、島に残るという選択をしています。
「帰りたい」は特定の場所への郷愁で、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求です。この2つを混同せずに切り分けると、自分が本当に求めているものが見えやすくなります。もし今「帰りたい」と感じているなら、それが本当に東京という場所への郷愁なのか、それとも今いる場所の制約から出たいだけなのか、一度立ち止まって確認してみてください。
自分の「帰りたい」の正体を、客観的に確認したい方へ
この記事で紹介した判断軸を、ご自身の状況に当てはめて整理できるチェックシートを無料配布しています。
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Q1. 地方移住して「東京に帰りたい」と思うのは、よくあることですか?
よくあることです。今回検証したX投稿・YouTube動画でも、出社回帰や物価の実感差、理想と現実のギャップなど、さまざまなきっかけで帰りたいと感じている移住者が複数見つかりました。検索して不安になっている時点で、あなたが特別に弱いわけではありません。
Q2. 「東京に帰りたい」と思ったら、すぐ決断せずどのくらい様子を見るべきですか?
明確な期間はありませんが、判断を急いだ結果、かえって苦しくなった実例が複数ありました。まずは何が引き金になっているのか、仕事の環境なのか、人間関係なのか、今いる場所そのものの制約なのかを言葉にしてみてください。原因によって取るべき選択肢は変わります。
Q3. 地方移住をやめて東京に戻る場合、仕事はどうすればいいですか?
出社回帰の流れで転職を機に戻らざるを得なかった実例もあれば、下調べ不足のまま移住して短期間で退去し戻った実例もありました。戻る場合は、移住前の職場に戻れる可能性があるか、新しい仕事を探す必要があるかを早めに整理しておくと、判断がしやすくなります。
Q4. パートナーと「戻りたい/戻りたくない」で意見が分かれたらどうすればいいですか?
夫婦間で「地方に移住したい」「東京に戻りたい」の意見が揺れ動く実例もありました。どちらか一方の意見を優先するのではなく、経済的条件・人間関係・土地への愛着という判断軸を、二人でそれぞれ言葉にしてすり合わせることが有効です。
Q5. 「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」は同じ気持ちですか?
同じではありません。「帰りたい」は東京という特定の場所への郷愁である一方、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求で、行き先が東京である必要はありません。私たち自身も、東京に帰りたいとは思わない一方で、離島の医療や教育の選択肢の少なさから本土に出たいと感じたことがあります。
Q6. 離島に移住した場合も、東京に帰りたくなることはありますか?
私たち自身の8年間では、東京に帰りたいと感じたことはありません。ただし、離島特有の制約から「本土に出たい」と感じたことは正直あります。この2つは別の感情であり、離島だからといって東京への郷愁が強まるとは限らないというのが実感です。
Q7. 東京に帰りたいと思ったことがない移住者は珍しいのでしょうか?
今回集めた一次情報の中では、東京に帰りたいと感じた経験を語る投稿の方が多く見つかりました。その意味で、私たちのケースは前提条件が異なる可能性があります。離島という環境、本土との往復のしやすさ、地域の人間関係のあり方など、複数の要因が重なった結果だと考えています。
運営者情報
この記事は、東京から島根県・隠岐へ移住した30代夫婦が運営しています。地縁もゆかりもない8世帯13人の集落へのIターンです。娘一人の3人家族で、隠岐・海士町は「ないものはない」を掲げる離島の町です。島留学や産業創出の取り組みでも知られています(参考:隠岐郡海士町公式サイト)。
地方移住そのものの動向については、総務省が毎年公表している移住・交流施策の調査結果も参考になります(参考:総務省「移住・交流施策」)。
移住して8年目、離島暮らしのリアルを、マーケター視点で検証しながら発信を続けています。この記事のために収集・分析したのは、X投稿28件・YouTube動画6本という一次情報。8年間の実体験とあわせて検証しました。詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
私たちは「東京に帰りたい」と思ったことが一度もない

ここまで、他の移住者の声を通じて「東京に帰りたい」という気持ちがどう生まれ、どう揺れるかを見てきました。一方、私たち自身は、実は8年間で東京に帰りたいと感じたことが一度もありません。感じたことがある前提で理由を並べるのではなく、感じなかった事実をそのまま書きます。
一番の理由は、この地域の人たちの優しさです。東京生まれ東京育ちの私にとって、東京の人間関係はどこか冷たいものだと感じていました。島根県・隠岐に移住してから、人と人とのつながりをこれまでとは違う濃さで感じるようになりました。
もっとも印象に残っているのは、お裾分けをめぐる出来事です。近所の高齢の方々から、畑で採れた野菜をたびたびいただいていました。もらってばかりでは申し訳ないと思い、お返しに伺ったところ、こう言われたのです。「お返しなんていらん。お返しするんだったらもう2度とお裾分けやらんよ」。続けて「うちらはお返しが欲しくてお裾分けしてるわけじゃないから、そういう気遣いしなくていいよ」とも言われました。
東京で育った自分は、何かをもらうと、心のどこかで見返りを返さなければと考えてしまいます。しかしこの地域の方々は、見返りを一切求めずに、ただあげたいからあげるという関係を築いていました。その精神性の高さに、正直かなり衝撃を受けたのを覚えています。
もう一つ、忘れられない場面があります。1歳の娘をベビーカーに乗せて電車に乗ったときのことです。東京では、車椅子用の広いスペースをサラリーマンが占領していて、ベビーカーで乗ってもどいてもらえないことが少なくありませんでした。
ところが島根県・鳥取県の山陰では、「お兄さん、ここ座りなよ!」と声をかけられ、席を譲ってもらいました。同じ「電車に乗る」という行動でも、この土地では見返りを求めない優しさに何度も出会ってきました。
移住前に想定していた「自然の豊かさ」だけでなく、こうした人間関係のあたたかさが、この場所を好きになった一番の理由です。私たちは隠岐もそうですが、山陰そのものが大好きなのです。だからこそ、東京に戻るという選択肢が8年間で一度も頭に浮かんだことがありません。
ただし、これは「離島暮らしに不満が一切ない」という意味ではありません。次の章では、「東京に帰りたい」とは別の種類の感情について書きます。
「東京に帰りたい」と「本土に出たい」は何が違うのか?

結論から言うと、「帰りたい」と「出たい」は方向の異なる感情です。「帰りたい」は特定の場所、つまり東京やかつての生活への郷愁です。一方、「出たい」は今いる環境の制約から解放されたいという欲求で、行き先が東京である必要はありません。
この違いを混同したまま語られる例があります。@proogoさんが紹介していたのは、友人「移住やめマン」の伝聞です。「とにかく『田舎暮らしはキツすぎる』と思って上京した」ものの、「移住したら、今度は『東京暮らしはキツすぎる』と気づき、田舎に戻った」というのです。
最終的にその友人は、「キツいのは田舎でも東京でもなく、『暮らし』と俺自身だった」と気づいたと語っていたそうです。これは私たち自身の体験ではなく、@proogoさんが友人の言葉を代弁した伝聞ですが、場所のせいにしてしまう典型例として示唆に富んでいます。
一方、私たち自身の実感はこれとは少し違います。私は東京という特定の場所に戻りたいと思ったことはありません。しかし島という限られた環境の外に出たいと感じたことは正直あります。感情の対象が「場所」ではなく「制約」に向いているという点で、@proogoさんの友人の葛藤とは種類が異なると感じます。
感情の対象は必ずしも固定されないという点も補足しておきます。@mayankjpnさんは、栃木で過ごした農作業の日々を、都会に戻った今でも思い出すと投稿していました。「都会に戻った今でも、草vs人間の最前線を思い出す。」という一文は、郷愁の対象が必ずしも都会側にあるとは限らないことを示しています。
「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」を切り分けて考えると、自分が本当に求めているものが見えやすくなります。次の章では、なぜ離島暮らしだと「本土に出たい」が生まれやすいのかを、海士町という土地の条件から掘り下げます。
なぜ離島暮らしだと「本土に出たい」が生まれるのか?

結論から言うと、離島は「特定の土地への郷愁」ではなく「今いる場所の外に出ないと得られない選択肢へのアクセス欲求」を生みやすい環境です。島根県隠岐・海士町という土地の背景から見ていきます。
海士町は、隠岐諸島にある人口約2000人の島です。70年ほど前には7000人近くいた人口が3分の1にまで減少し、一時は地方交付税の大幅削減で財政が危機的な状況に陥りました(参考:YouTube「副業ではなく複業 日本海に浮かぶ島根県の小さな島で始まった持続可能な働き方」)。
離島振興法にもとづき、国も離島留学など定住支援策を進めています。ただ、それ自体が医療・教育・雇用は本土に集中しやすいという構造の裏返しでもあります(参考:国土交通省「離島振興」)。
東京の大手広告代理店を辞めて海士町へ移住したあるデザイナーは、「東京にいたりとか大きな会社で働いたりとかするとやっぱそこにあんまり視点が向かなかった」と振り返っていました。
移住してからは、「人口も少ないしそこにはやっぱりこうすごくリアルにダイレクトに高齢化してるなぁ」と実感するようになったと語っています(参考:YouTube「【東京から地方移住】40代・デザイナーが大手広告代理店を辞め、島根県の離島・海士町に移住したわけ」)。
これは海士町に限った話ではなく、地方全般に共通する構造的な課題でもあります。兵庫県神河町という中山間地域から発信している@poC_jpさんは、都会の人がイメージする「自然が豊かで静かな場所」の裏側について、「地方は今、『草との戦争』をしている」と表現していました。
人口減少と高齢化で担い手が減る一方、管理すべき面積は減らないという指摘です。離島か中山間地かを問わず、地方の担い手不足という構造は共通しています。
一方、私たち自身も、離島という条件そのものから「本土に出たい」と感じたことがあります。もっとも切実なのは医療です。西洋医学以外の選択肢、たとえば漢方や鍼灸、整体といった手段が島にはないですし、大きな病気になれば都度船に乗って本土の病院に通う必要があります。
離島やへき地の医療体制は、実際に国レベルの検討課題でもあります(参考:厚生労働省「へき地保健医療対策検討会」)。今はまだ若いので大丈夫かもしれませんが、自分たちが60代、70代になったときに、この医療体制のままで居続けられるのだろうかという不安は正直あります。
次に感じるのが、子供の教育環境です。娘は今5歳です。先進的な教育を取り入れている学校は、東京や大阪、福岡といった都市近郊に集中する傾向があり、離島にいると選択肢が限られます。これから娘が小学校、中学校と進んでいくことを考えると、この場所のままでいいのかを悩む場面が正直あります。
そしてもう一つ、収入とキャリアについても本気で悩んだ時期がありました。移住後、報酬は東京水準から大きく下がり、娘が生まれたタイミングで、このままの収入とキャリアでいいのかと真剣に考えた末、転職活動をしたことがあります。その結果、本土の会社数社からオファーをいただき、本気で島を出ようと思いました。この決断がどうなったかは、まとめで改めて触れます。
医療も教育も収入も、根本にあるのは「今いる場所の外に出ないと得られない選択肢」への渇望です。これは東京という特定の場所への郷愁とは、性質が違う感情だと感じています。
「東京に帰りたい」気持ちが芽生えたら、まず何をすればいいか?

結論から言うと、帰りたいと感じても、すぐに動く必要はありません。まず判断を急がず、何が引き金になっているのかを確認してください。
もっとも避けたいのは、準備不足のまま判断を急いでしまうことです。@yo20011002さんは、地方から抜け出そうとしたものの、「田舎が嫌で逃げ出そうとしたのにメンタル壊れて出戻りクネクネしてる僕にとっては更に絶望なんですが」と、判断を急いだ末の苦しさを投稿していました。急いで動くほど、かえって選択肢を狭めてしまうことがあります。
パートナーとの関係を理由に踏みとどまった例もあります。@h38902さんは、大好きな沖縄への単身移住を考えつつも、「特大Gに耐えられなさそうなので踏みとどまってる」と、関係性を優先した判断を明かしていました。
ライフステージを理由に見送る判断もあります。@caHdBYYMxOLBNXOさんは、ある土地に強く惹かれつつも「多分、性格上(経験上)独身の時だったら移住してたと思う」と、今の自分には合わない選択であることを受け止めていました。
経済的な理由で見送る判断も、現実的な軸として機能します。@CMBottleさんは、趣味への出費リスクを踏まえて、「今は移住を踏みとどまってよかったと思ってるよ」と綴っています。@juri_biborokuさんも、食の魅力を認めつつ、生活習慣の変化を理由に「住んだら確実に太ってしまうという点で移住踏みとどまってるとこある」と、ユーモラスながら現実的な判断を示していました。
帰りたい気持ちが芽生えたら、まず何が引き金なのかを言葉にしてみてください。次の4つを自分に問いかけてみると、原因の輪郭がはっきりしてきます。
- 仕事: 今の職場・働き方が原因なら、転職や働き方を変えるだけで解決しないか
- 人間関係: 特定の相手や地域コミュニティとの摩擦が原因なら、距離の取り方で対処できないか
- 生活コスト: 収入と支出のバランスが原因なら、東京に戻らなくても改善する方法がないか
- 環境そのものの制約: 医療・教育・交通など、その土地の構造的な制約が原因なら、東京以外の選択肢も含めて考えられないか
原因によって、取るべき選択肢は変わってきます。仕事や人間関係が原因なら、今の場所に残ったまま解決できる可能性があります。一方、環境そのものの制約が原因なら、戻る先は必ずしも東京である必要はありません。
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まとめ:「帰りたい」と「出たい」は別の感情
「地方移住したのに東京に帰りたい」と感じるのは、決して珍しいことではありません。X投稿28件・YouTube動画6本を通じて、多くの移住者が同じ揺れを抱えていることを見てきました。外部要因、生活実感の差、繰り返す葛藤、理想と現実のギャップという4パターンが、その入口になっていました。
私たち夫婦は8年間、東京に帰りたいと思ったことが一度もありません。理由は、見返りを求めない贈与の関係や、電車で自然に席を譲ってもらえるような、この地域の人たちの優しさです。
一方で、離島という条件そのものから「本土に出たい」と感じたことはあります(財務面の検証はこちらの記事、移住前の夫婦の意思決定はこちらの記事もあわせてご覧ください)。医療、教育、そして収入とキャリアです。収入とキャリアについては、娘が生まれたタイミングで転職活動をし、本土の会社数社からオファーをいただき、本気で島を出ようと思った時期がありました。結果的には、今はフルリモートでマーケティングの仕事を続けており、島に残るという選択をしています。
「帰りたい」は特定の場所への郷愁で、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求です。この2つを混同せずに切り分けると、自分が本当に求めているものが見えやすくなります。もし今「帰りたい」と感じているなら、それが本当に東京という場所への郷愁なのか、それとも今いる場所の制約から出たいだけなのか、一度立ち止まって確認してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 地方移住して「東京に帰りたい」と思うのは、よくあることですか?
よくあることです。今回検証したX投稿・YouTube動画でも、出社回帰や物価の実感差、理想と現実のギャップなど、さまざまなきっかけで帰りたいと感じている移住者が複数見つかりました。検索して不安になっている時点で、あなたが特別に弱いわけではありません。
Q2. 「東京に帰りたい」と思ったら、すぐ決断せずどのくらい様子を見るべきですか?
明確な期間はありませんが、判断を急いだ結果、かえって苦しくなった実例が複数ありました。まずは何が引き金になっているのか、仕事の環境なのか、人間関係なのか、今いる場所そのものの制約なのかを言葉にしてみてください。原因によって取るべき選択肢は変わります。
Q3. 地方移住をやめて東京に戻る場合、仕事はどうすればいいですか?
出社回帰の流れで転職を機に戻らざるを得なかった実例もあれば、下調べ不足のまま移住して短期間で退去し戻った実例もありました。戻る場合は、移住前の職場に戻れる可能性があるか、新しい仕事を探す必要があるかを早めに整理しておくと、判断がしやすくなります。
Q4. パートナーと「戻りたい/戻りたくない」で意見が分かれたらどうすればいいですか?
夫婦間で「地方に移住したい」「東京に戻りたい」の意見が揺れ動く実例もありました。どちらか一方の意見を優先するのではなく、経済的条件・人間関係・土地への愛着という判断軸を、二人でそれぞれ言葉にしてすり合わせることが有効です。
Q5. 「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」は同じ気持ちですか?
同じではありません。「帰りたい」は東京という特定の場所への郷愁である一方、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求で、行き先が東京である必要はありません。私たち自身も、東京に帰りたいとは思わない一方で、離島の医療や教育の選択肢の少なさから本土に出たいと感じたことがあります。
Q6. 離島に移住した場合も、東京に帰りたくなることはありますか?
私たち自身の8年間では、東京に帰りたいと感じたことはありません。ただし、離島特有の制約から「本土に出たい」と感じたことは正直あります。この2つは別の感情であり、離島だからといって東京への郷愁が強まるとは限らないというのが実感です。
Q7. 東京に帰りたいと思ったことがない移住者は珍しいのでしょうか?
今回集めた一次情報の中では、東京に帰りたいと感じた経験を語る投稿の方が多く見つかりました。その意味で、私たちのケースは前提条件が異なる可能性があります。離島という環境、本土との往復のしやすさ、地域の人間関係のあり方など、複数の要因が重なった結果だと考えています。
運営者情報
この記事は、東京から島根県・隠岐へ移住した30代夫婦が運営しています。地縁もゆかりもない8世帯13人の集落へのIターンです。娘一人の3人家族で、隠岐・海士町は「ないものはない」を掲げる離島の町です。島留学や産業創出の取り組みでも知られています(参考:隠岐郡海士町公式サイト)。
地方移住そのものの動向については、総務省が毎年公表している移住・交流施策の調査結果も参考になります(参考:総務省「移住・交流施策」)。
移住して8年目、離島暮らしのリアルを、マーケター視点で検証しながら発信を続けています。この記事のために収集・分析したのは、X投稿28件・YouTube動画6本という一次情報。8年間の実体験とあわせて検証しました。詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
「地方移住 東京に帰りたい」と検索したということは、今まさにその気持ちを抱えているのだと思います。この感覚を持っているのは自分だけなのか。そう不安になっている方も多いはずです。
私たち夫婦は8年前、東京から島根県・隠岐へ移住しました。出身地とも縁のない土地に移り住む、いわゆる「Iターン」という形での移住です。縁もゆかりもない8世帯13人の集落への移住でした。娘一人の3人家族で、今年で8年目になります。
先に結論を書きます。私たち自身は、移住してから東京に帰りたいと思ったことが実は一度もありません。ただし、島から本土に出たいと思ったことは正直あります。この2つは似ているようで、中身が違う感情です。
この記事では、X投稿28件・YouTube動画6本という他の移住者の一次情報で「東京に帰りたい」という気持ちの実態を検証したうえで、私たち自身が帰りたいと感じなかった理由と、それとは別に「出たい」と感じた理由を、両方正直に書きます。
この記事でわかること
・「東京に帰りたい」と感じるのは自分だけではないという実例
・実際に東京へ戻った人たちの、戻った後の心境
・東京に戻らない・戻るを判断する4つの軸
・私たち夫婦が東京に帰りたいと思わない具体的な理由
・「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」の違い
・離島暮らしだからこそ「本土に出たい」が生まれる背景
・帰りたい気持ちが芽生えたときにまず何をすべきか
なお、記事内で紹介するX投稿・YouTube動画は個人の意見や体験であり、地域や時期によって状況は異なります。ひとつの実例として参考にしてください。
「地方移住したのに東京に帰りたい」と思うのは、あなただけではない

結論から言うと、この気持ちを抱えている移住者は少なくありません。検索して不安になっている時点で、あなたは特別に弱いわけではないのです。
@weeklyniigatapさんは、新潟から東京へ戻る新幹線の車内で、Uターン転職サイトや退職についてのサイトを本気で見てしまうと投稿しています。家族や見栄を理由に行動できない自分に悔しさを感じつつ、「諦める。毎回。」と綴っていました。
@YPC8032418さんは、関西へ移住して2年になります。「時々東京が恋しくなっても、自分なりに関西を楽しんでいます」と、揺れながらも今の生活を選び続けている様子を投稿していました。
@yuitmokさんも、北海道移住10ヶ月の時点で「たまに東京は恋しいけれど、食材がレベチでおいしく、自然豊かな北海道が大好きです」と書いています。恋しさと満足感は、同時に存在できるようです。
夫婦間で意見が割れる例もあります。@masumayu_さんは、「地方に移住したいって言ったり東京に戻りたいって言ったり勝手な夫。私はどう生きていきたいんだろう」と、揺れ動く夫と自分自身の心境を投稿していました。夫婦の意見が一枚岩ではないという現実は、私たちにとっても他人事ではありません。
「自分だけがおかしいのではないか」という不安は、検索した時点でほぼ解消していいと思います。次の章から、その気持ちが生まれる具体的なきっかけを見ていきます。
「東京に帰りたい」と感じる瞬間・きっかけ、実例で見る4パターン

結論から言うと、帰りたくなるきっかけは大きく4パターンに分かれます。外部要因、生活実感の差、繰り返す葛藤、そして理想と現実のギャップです。
1つ目は、自分の意思とは関係なく訪れる外部要因です。@risa_tech98さんは、コロナ禍明けの転職で「週に2-3回は出社してね」の流れに逆らえず、地方移住していたのに東京へ戻らざるを得なかったと投稿していました。移住を続けるかどうかは、必ずしも自分だけで決められるわけではありません。
2つ目は、地方と東京を比較して気づく生活実感の差です。@take4_fireさんは、「地方は食料が安い」という一般論とは逆に、移住先から東京に戻って感じたのは「東京の方が種類も豊富で、しかも安い」ことだったと綴っています。物価も品揃えも、住んでみないと見えてこない部分があるようです。
収入や生活費といった定量的なデータをより詳しく知りたい方は、年収3割減の実例を検証した記事も参考にしてください。本記事は心理的なきっかけに絞って扱います。
3つ目は、ギャップに繰り返し向き合う葛藤です。@wakootakoさんは、東京と地方のギャップにぶつかるたびにしんどさを感じると投稿していました。「耐えられなくて都心部に戻った人の声も聞いてみたい」という一文は、本記事の検索意図そのものを言い当てています。
4つ目は、理想と現実のギャップという、いわゆる「あるある」パターンです。@prism_thoughtsさんは第三者としての観察で、「リモートワークで地方移住とか言ってる人、3年後には東京に戻ってるんだよな」と述べていました。理由として挙げていたのは、公文しかない習い事、車で1時間かかる外食、Uber Eatsが使えない不便さです。
@jinusuさんも同様の周囲の事例を観察コメントとして紹介していました。「田舎ならではの生活を定年後に送りたいと移住したら、全然人は親切でもないし交通も不便、良い所がなく東京に戻る羽目に」というものです。
4パターンとも、外部要因・比較・葛藤・ギャップという別々の入口を持ちながら、最終的には「戻る」という同じ選択肢につながっています。次の章では、実際に東京へ戻った人がその後どうなったのかを見ていきます。
東京へ戻った人たちの実例:戻った後どうなったのか?

結論から言うと、東京へ戻った後の心境は一様ではありません。安心する人もいれば、複雑な気持ちを抱えたまま暮らす人もいます。
もっとも重い実例は、下調べ不足のまま移住して短期間で退去したケースです。ある発信者は、郊外の一軒家に勢いで引っ越したものの、大規模な撮影をしただけで即クレームが来て、町内会にも入らなければならなくなったと告白していました。
結局「音出したら即クレーム行ったり」「町内会入らなあかんとかなったり」という負担が重なり、わずか3ヶ月で退去して「東京に戻っていきました」と締めくくっています(参考:YouTube「地方移住完全に失敗した話」)。
一方で、東京に戻ったことを前向きに語る人もいます。沖縄に1年半移住していたある発信者は、東京生活へ戻った経緯を正直に語る動画の中で、生活のしにくさを並べつつも「それでもやっぱりまあ東京戻ってきてよかったな」と話していました。移住も帰還も自分で選んだ道であることが、納得感につながっているようです(参考:YouTube「【移住終了】東京生活について正直にお話しします。」)。
X投稿でも、東京へ戻ったという報告は複数見つかります。@72kmpostさんは、「私は今年度より東京に戻っておりまして無事です」と簡潔に近況を報告していました。@greynomadoさんは、離婚と父親の死を経て沖縄へ移住し、「4年後、東京に戻ってきた」と人生の転機を振り返っています。
@Hajime_N_Tokyoさんも、「沖縄移住から東京に戻ってきて」久しぶりにサッカー観戦をした記憶を投稿していました。戻った後の暮らしは、それぞれの日常の中に静かに溶け込んでいるようです。
戻った後の心境が複雑なまま続く例もあります。@tomicatswebさんは、東京に戻って5年経ってようやく満足できる海鮮丼に出会えたと喜びつつ、「田舎暮らしが懐かしくなってきていたけど、オラもう少し都会で頑張れそうだぁ」と揺れる本音を綴っていました。
@mnk_jr_fispaさんは、「比較的都会出身の現在ド田舎暮らしだから都会に戻ってくると安心する」と、都会に戻る瞬間の安心感を短く言い表しています。
戻った後の心境は、安堵・納得・郷愁が入り混じっているというのが実態に近いと思います。それでは、戻る/戻らないを分ける判断軸はどこにあるのでしょうか。
東京に戻らない/戻るを判断する4つの軸

結論から言うと、判断軸は大きく4つに整理できます。経済的条件、人間関係やつながり、迷いが一度きりで終わるかどうか、そして土地への愛着です。まずは4つの軸と、それぞれで自分に問いかけたい質問を一覧にしました。
| 判断軸 | 自分に問いかけること | 実例からのヒント |
|---|---|---|
| 経済的条件 | 今の収入・キャリアのままで納得できるか | @magnuts_01さんは未経験の異業種転職でも年収据え置きを実現 |
| 人間関係・つながり | 移住先に価値観の合う人間関係を築けているか | @grico55さんは全国ネットで働く仲間との縁が支えになったと投稿 |
| 迷いの反復性 | 一度きりの迷いか、何度も繰り返している迷いか | @unipuddingさんは移動を繰り返し「Mターン」と自己定義 |
| 土地への愛着・相性 | この土地が単純に「合っている」と感じるか | @ACO82945949さんは「その田舎がピッタリ合っていた」と回答 |
それぞれの軸について、実例を交えて詳しく見ていきます。
1つ目は経済的条件です。@sogawa123さんは、移住やUターンの決め手は暮らしやすさだけではないと指摘しています。仕事・給与・キャリア・子育て環境といった「経済的・職業的な条件が大きく影響します」という分析は、判断軸の土台にあたる部分だと感じます。
@magnuts_01さんは、第二子妊娠を機に東京から福岡へ移住し、未経験のIT業界へ転職しました。収入が下がる覚悟だったにもかかわらず、「年収据え置き、IT業界、フルリモ、残業10h以下を実現。」という結果に至っています。経済条件は移住先で悪化するとは限らないという実例です。
私たち自身にも、経済的条件で本気で揺れた時期がありました。移住して3年ほど経ち、娘が生まれたタイミングで、当時の収入とキャリアのままでいいのかを真剣に悩んだことがあります。転職活動をした結果、本土の会社数社からオファーをいただき、正直、島を出ようかなと思ったことがありました。この続きは、後ほど詳しく書きます。
2つ目は人間関係やつながりです。@grico55さんは、「転勤、出戻り、移住、全国ネットで働く人は価値観似てて、仲良くなれた」と、移住者同士のつながりが定住の支えになっていることを綴っていました。
3つ目は、迷いが一度きりで終わるとは限らないという点です。@unipuddingさんは、秋葉原生まれ、神奈川育ち、札幌へ進学、東京で就職、また札幌へ、そして再び東京へと移動を繰り返し、「UターンとかIターンみたいな言い方だと現在Mターンになります」と自己定義しています。判断は一度で完結するものではないようです。
4つ目は土地への愛着や合う/合わないという相性です。@ACO82945949さんは、結婚を機に移住した田舎が合わず苦労する話をよく聞く一方、自分の場合は「その田舎がピッタリ合っていた」と、元恋人と別れた後も住み続けている実例を投稿しています。第三者観察として、@wolt556さんは、中古住宅を買って移住し1〜2年でギブアップして都会に戻るケースへの言及もしていました。
対抗軸として、戻らずに定住を続けている側の声も紹介します。青森へ移住して3年になる発信者は、自然環境・子育て環境・住宅コストの低さ・食の豊かさなど、田舎暮らしのメリットを8つ紹介していました(参考:YouTube「【東京→田舎に移住して早3年】将来どこで働こうか迷っている方へ」)。
糸島へ移住して3年目のカップルは、鹿児島への移住を検討して下見までしたものの、車の運転の雰囲気から見送った経緯を語っています。それでも「今は引っ越したいとか思う?」という問いに対する答えは「半分半分」でした。移住から3年経っても、決着とは呼べない揺らぎが残ることもあるようです(参考:YouTube「【同棲3年目の本音】地方移住してよかった?」)。
移住前の夫婦の意思決定プロセスについては、記事「地方移住は夫婦の絆を深めるか」で詳しく扱っています。あちらは移住するかどうかを決めた時点の話です。本記事が扱うのは、移住後8年目に差しかかった今も継続するかどうかを判断し続けている、という時点の違いになります。
自分たちの判断軸を、客観的に整理したい方へ
経済的条件・人間関係・迷いの反復・土地への愛着という4つの軸を、自分の状況に当てはめてチェックできるシートを無料配布しています。
私たちは「東京に帰りたい」と思ったことが一度もない

ここまで、他の移住者の声を通じて「東京に帰りたい」という気持ちがどう生まれ、どう揺れるかを見てきました。一方、私たち自身は、実は8年間で東京に帰りたいと感じたことが一度もありません。感じたことがある前提で理由を並べるのではなく、感じなかった事実をそのまま書きます。
一番の理由は、この地域の人たちの優しさです。東京生まれ東京育ちの私にとって、東京の人間関係はどこか冷たいものだと感じていました。島根県・隠岐に移住してから、人と人とのつながりをこれまでとは違う濃さで感じるようになりました。
もっとも印象に残っているのは、お裾分けをめぐる出来事です。近所の高齢の方々から、畑で採れた野菜をたびたびいただいていました。もらってばかりでは申し訳ないと思い、お返しに伺ったところ、こう言われたのです。「お返しなんていらん。お返しするんだったらもう2度とお裾分けやらんよ」。続けて「うちらはお返しが欲しくてお裾分けしてるわけじゃないから、そういう気遣いしなくていいよ」とも言われました。
東京で育った自分は、何かをもらうと、心のどこかで見返りを返さなければと考えてしまいます。しかしこの地域の方々は、見返りを一切求めずに、ただあげたいからあげるという関係を築いていました。その精神性の高さに、正直かなり衝撃を受けたのを覚えています。
もう一つ、忘れられない場面があります。1歳の娘をベビーカーに乗せて電車に乗ったときのことです。東京では、車椅子用の広いスペースをサラリーマンが占領していて、ベビーカーで乗ってもどいてもらえないことが少なくありませんでした。
ところが島根県・鳥取県の山陰では、「お兄さん、ここ座りなよ!」と声をかけられ、席を譲ってもらいました。同じ「電車に乗る」という行動でも、この土地では見返りを求めない優しさに何度も出会ってきました。
移住前に想定していた「自然の豊かさ」だけでなく、こうした人間関係のあたたかさが、この場所を好きになった一番の理由です。私たちは隠岐もそうですが、山陰そのものが大好きなのです。だからこそ、東京に戻るという選択肢が8年間で一度も頭に浮かんだことがありません。
ただし、これは「離島暮らしに不満が一切ない」という意味ではありません。次の章では、「東京に帰りたい」とは別の種類の感情について書きます。
「東京に帰りたい」と「本土に出たい」は何が違うのか?

結論から言うと、「帰りたい」と「出たい」は方向の異なる感情です。「帰りたい」は特定の場所、つまり東京やかつての生活への郷愁です。一方、「出たい」は今いる環境の制約から解放されたいという欲求で、行き先が東京である必要はありません。
この違いを混同したまま語られる例があります。@proogoさんが紹介していたのは、友人「移住やめマン」の伝聞です。「とにかく『田舎暮らしはキツすぎる』と思って上京した」ものの、「移住したら、今度は『東京暮らしはキツすぎる』と気づき、田舎に戻った」というのです。
最終的にその友人は、「キツいのは田舎でも東京でもなく、『暮らし』と俺自身だった」と気づいたと語っていたそうです。これは私たち自身の体験ではなく、@proogoさんが友人の言葉を代弁した伝聞ですが、場所のせいにしてしまう典型例として示唆に富んでいます。
一方、私たち自身の実感はこれとは少し違います。私は東京という特定の場所に戻りたいと思ったことはありません。しかし島という限られた環境の外に出たいと感じたことは正直あります。感情の対象が「場所」ではなく「制約」に向いているという点で、@proogoさんの友人の葛藤とは種類が異なると感じます。
感情の対象は必ずしも固定されないという点も補足しておきます。@mayankjpnさんは、栃木で過ごした農作業の日々を、都会に戻った今でも思い出すと投稿していました。「都会に戻った今でも、草vs人間の最前線を思い出す。」という一文は、郷愁の対象が必ずしも都会側にあるとは限らないことを示しています。
「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」を切り分けて考えると、自分が本当に求めているものが見えやすくなります。次の章では、なぜ離島暮らしだと「本土に出たい」が生まれやすいのかを、海士町という土地の条件から掘り下げます。
なぜ離島暮らしだと「本土に出たい」が生まれるのか?

結論から言うと、離島は「特定の土地への郷愁」ではなく「今いる場所の外に出ないと得られない選択肢へのアクセス欲求」を生みやすい環境です。島根県隠岐・海士町という土地の背景から見ていきます。
海士町は、隠岐諸島にある人口約2000人の島です。70年ほど前には7000人近くいた人口が3分の1にまで減少し、一時は地方交付税の大幅削減で財政が危機的な状況に陥りました(参考:YouTube「副業ではなく複業 日本海に浮かぶ島根県の小さな島で始まった持続可能な働き方」)。
離島振興法にもとづき、国も離島留学など定住支援策を進めています。ただ、それ自体が医療・教育・雇用は本土に集中しやすいという構造の裏返しでもあります(参考:国土交通省「離島振興」)。
東京の大手広告代理店を辞めて海士町へ移住したあるデザイナーは、「東京にいたりとか大きな会社で働いたりとかするとやっぱそこにあんまり視点が向かなかった」と振り返っていました。
移住してからは、「人口も少ないしそこにはやっぱりこうすごくリアルにダイレクトに高齢化してるなぁ」と実感するようになったと語っています(参考:YouTube「【東京から地方移住】40代・デザイナーが大手広告代理店を辞め、島根県の離島・海士町に移住したわけ」)。
これは海士町に限った話ではなく、地方全般に共通する構造的な課題でもあります。兵庫県神河町という中山間地域から発信している@poC_jpさんは、都会の人がイメージする「自然が豊かで静かな場所」の裏側について、「地方は今、『草との戦争』をしている」と表現していました。
人口減少と高齢化で担い手が減る一方、管理すべき面積は減らないという指摘です。離島か中山間地かを問わず、地方の担い手不足という構造は共通しています。
一方、私たち自身も、離島という条件そのものから「本土に出たい」と感じたことがあります。もっとも切実なのは医療です。西洋医学以外の選択肢、たとえば漢方や鍼灸、整体といった手段が島にはないですし、大きな病気になれば都度船に乗って本土の病院に通う必要があります。
離島やへき地の医療体制は、実際に国レベルの検討課題でもあります(参考:厚生労働省「へき地保健医療対策検討会」)。今はまだ若いので大丈夫かもしれませんが、自分たちが60代、70代になったときに、この医療体制のままで居続けられるのだろうかという不安は正直あります。
次に感じるのが、子供の教育環境です。娘は今5歳です。先進的な教育を取り入れている学校は、東京や大阪、福岡といった都市近郊に集中する傾向があり、離島にいると選択肢が限られます。これから娘が小学校、中学校と進んでいくことを考えると、この場所のままでいいのかを悩む場面が正直あります。
そしてもう一つ、収入とキャリアについても本気で悩んだ時期がありました。移住後、報酬は東京水準から大きく下がり、娘が生まれたタイミングで、このままの収入とキャリアでいいのかと真剣に考えた末、転職活動をしたことがあります。その結果、本土の会社数社からオファーをいただき、本気で島を出ようと思いました。この決断がどうなったかは、まとめで改めて触れます。
医療も教育も収入も、根本にあるのは「今いる場所の外に出ないと得られない選択肢」への渇望です。これは東京という特定の場所への郷愁とは、性質が違う感情だと感じています。
「東京に帰りたい」気持ちが芽生えたら、まず何をすればいいか?

結論から言うと、帰りたいと感じても、すぐに動く必要はありません。まず判断を急がず、何が引き金になっているのかを確認してください。
もっとも避けたいのは、準備不足のまま判断を急いでしまうことです。@yo20011002さんは、地方から抜け出そうとしたものの、「田舎が嫌で逃げ出そうとしたのにメンタル壊れて出戻りクネクネしてる僕にとっては更に絶望なんですが」と、判断を急いだ末の苦しさを投稿していました。急いで動くほど、かえって選択肢を狭めてしまうことがあります。
パートナーとの関係を理由に踏みとどまった例もあります。@h38902さんは、大好きな沖縄への単身移住を考えつつも、「特大Gに耐えられなさそうなので踏みとどまってる」と、関係性を優先した判断を明かしていました。
ライフステージを理由に見送る判断もあります。@caHdBYYMxOLBNXOさんは、ある土地に強く惹かれつつも「多分、性格上(経験上)独身の時だったら移住してたと思う」と、今の自分には合わない選択であることを受け止めていました。
経済的な理由で見送る判断も、現実的な軸として機能します。@CMBottleさんは、趣味への出費リスクを踏まえて、「今は移住を踏みとどまってよかったと思ってるよ」と綴っています。@juri_biborokuさんも、食の魅力を認めつつ、生活習慣の変化を理由に「住んだら確実に太ってしまうという点で移住踏みとどまってるとこある」と、ユーモラスながら現実的な判断を示していました。
帰りたい気持ちが芽生えたら、まず何が引き金なのかを言葉にしてみてください。次の4つを自分に問いかけてみると、原因の輪郭がはっきりしてきます。
- 仕事: 今の職場・働き方が原因なら、転職や働き方を変えるだけで解決しないか
- 人間関係: 特定の相手や地域コミュニティとの摩擦が原因なら、距離の取り方で対処できないか
- 生活コスト: 収入と支出のバランスが原因なら、東京に戻らなくても改善する方法がないか
- 環境そのものの制約: 医療・教育・交通など、その土地の構造的な制約が原因なら、東京以外の選択肢も含めて考えられないか
原因によって、取るべき選択肢は変わってきます。仕事や人間関係が原因なら、今の場所に残ったまま解決できる可能性があります。一方、環境そのものの制約が原因なら、戻る先は必ずしも東京である必要はありません。
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まとめ:「帰りたい」と「出たい」は別の感情
「地方移住したのに東京に帰りたい」と感じるのは、決して珍しいことではありません。X投稿28件・YouTube動画6本を通じて、多くの移住者が同じ揺れを抱えていることを見てきました。外部要因、生活実感の差、繰り返す葛藤、理想と現実のギャップという4パターンが、その入口になっていました。
私たち夫婦は8年間、東京に帰りたいと思ったことが一度もありません。理由は、見返りを求めない贈与の関係や、電車で自然に席を譲ってもらえるような、この地域の人たちの優しさです。
一方で、離島という条件そのものから「本土に出たい」と感じたことはあります(財務面の検証はこちらの記事、移住前の夫婦の意思決定はこちらの記事もあわせてご覧ください)。医療、教育、そして収入とキャリアです。収入とキャリアについては、娘が生まれたタイミングで転職活動をし、本土の会社数社からオファーをいただき、本気で島を出ようと思った時期がありました。結果的には、今はフルリモートでマーケティングの仕事を続けており、島に残るという選択をしています。
「帰りたい」は特定の場所への郷愁で、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求です。この2つを混同せずに切り分けると、自分が本当に求めているものが見えやすくなります。もし今「帰りたい」と感じているなら、それが本当に東京という場所への郷愁なのか、それとも今いる場所の制約から出たいだけなのか、一度立ち止まって確認してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 地方移住して「東京に帰りたい」と思うのは、よくあることですか?
よくあることです。今回検証したX投稿・YouTube動画でも、出社回帰や物価の実感差、理想と現実のギャップなど、さまざまなきっかけで帰りたいと感じている移住者が複数見つかりました。検索して不安になっている時点で、あなたが特別に弱いわけではありません。
Q2. 「東京に帰りたい」と思ったら、すぐ決断せずどのくらい様子を見るべきですか?
明確な期間はありませんが、判断を急いだ結果、かえって苦しくなった実例が複数ありました。まずは何が引き金になっているのか、仕事の環境なのか、人間関係なのか、今いる場所そのものの制約なのかを言葉にしてみてください。原因によって取るべき選択肢は変わります。
Q3. 地方移住をやめて東京に戻る場合、仕事はどうすればいいですか?
出社回帰の流れで転職を機に戻らざるを得なかった実例もあれば、下調べ不足のまま移住して短期間で退去し戻った実例もありました。戻る場合は、移住前の職場に戻れる可能性があるか、新しい仕事を探す必要があるかを早めに整理しておくと、判断がしやすくなります。
Q4. パートナーと「戻りたい/戻りたくない」で意見が分かれたらどうすればいいですか?
夫婦間で「地方に移住したい」「東京に戻りたい」の意見が揺れ動く実例もありました。どちらか一方の意見を優先するのではなく、経済的条件・人間関係・土地への愛着という判断軸を、二人でそれぞれ言葉にしてすり合わせることが有効です。
Q5. 「東京に帰りたい」と「今いる場所を出たい」は同じ気持ちですか?
同じではありません。「帰りたい」は東京という特定の場所への郷愁である一方、「出たい」は今いる環境の制約からの解放欲求で、行き先が東京である必要はありません。私たち自身も、東京に帰りたいとは思わない一方で、離島の医療や教育の選択肢の少なさから本土に出たいと感じたことがあります。
Q6. 離島に移住した場合も、東京に帰りたくなることはありますか?
私たち自身の8年間では、東京に帰りたいと感じたことはありません。ただし、離島特有の制約から「本土に出たい」と感じたことは正直あります。この2つは別の感情であり、離島だからといって東京への郷愁が強まるとは限らないというのが実感です。
Q7. 東京に帰りたいと思ったことがない移住者は珍しいのでしょうか?
今回集めた一次情報の中では、東京に帰りたいと感じた経験を語る投稿の方が多く見つかりました。その意味で、私たちのケースは前提条件が異なる可能性があります。離島という環境、本土との往復のしやすさ、地域の人間関係のあり方など、複数の要因が重なった結果だと考えています。
運営者情報
この記事は、東京から島根県・隠岐へ移住した30代夫婦が運営しています。地縁もゆかりもない8世帯13人の集落へのIターンです。娘一人の3人家族で、隠岐・海士町は「ないものはない」を掲げる離島の町です。島留学や産業創出の取り組みでも知られています(参考:隠岐郡海士町公式サイト)。
地方移住そのものの動向については、総務省が毎年公表している移住・交流施策の調査結果も参考になります(参考:総務省「移住・交流施策」)。
移住して8年目、離島暮らしのリアルを、マーケター視点で検証しながら発信を続けています。この記事のために収集・分析したのは、X投稿28件・YouTube動画6本という一次情報。8年間の実体験とあわせて検証しました。詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

